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「兄貴が死んじゃったよ・・・」
そのメールを見たのはツーリング帰りの幕張パーキングだった。
慌てて電話をかけると、携帯越しに涙ぐんだヤツの声。
鳴咽のようで、聞き取ることすら難しい状況から、ヤツのただならぬ絶望感を感じ取った。
俺は懸命にに探したが、結局まともな言葉を掛けられずに通話は終わった。
あくる日、ヤツの店を訪れた。
給料日後のしゅうまつとあって、大盛況の満卓。あちこちから談笑が絶えない。
そこに、いつもの様に汗をかヤツはいた。
不幸のどん底にいる人間がたくさんの人を幸せにしていた。
俺は申し訳なかった。
旨かったから・・・。
いつも通りとても旨かったから。
幸せになってしまったから。
何も知らない一般客はともかく、悲しみを分かち合う目的で来た俺すらも・・・。
妹や弟が突然死んだら、俺にこんな振る舞いが出来るだろうか、
旨い肉を食いながら、俺は心の中で何度もヤツに謝った。
俺の記憶に残るヤツの兄貴と言えば、高校生の頃、無免許で捕まった俺を四谷警察まで引き取りに来てくれた兄、
開店準備でヤツを手伝い内装工事をしていた兄、
仲間の忘年会を取り仕切り盛り上げる兄、
偶然だろうか、どれも人のために働く姿だった。
ヤツ曰く、弟を助けるために小学生ながら中学生に立ち向かった事もあるという。
情に厚く献身的、とにかくいつも人助けをしている人だったのだ。
そして何より、この俺も世話になった大勢の内の一人だ。
皆の苦労を一人で背負って、
自分の事よりも常に人のために働く・・・。
やっぱ兄弟だな、お前も同じだよ。
俺はヤツに甘えた事はあっても甘えられた記憶は無い。
もっと甘えてくれといいながら、俺はヤツの肩をたたいた。
湯船に浸かり考えた。
一体、俺に何が出来るんだろうかと、
何が出来るか分からないが、何でもやってやりたい。
だからさ、いいんだよ! もっと甘えてくれよな!! |