流転(るてん)とは、物事がとどまることなく移り変わっていくこと、また生死、因果が繰り返されてきわまることがないことである。・・・・・

いまから数年前に、一人の男との出会いがあった
今となってはその日が俺の 鉄馬流転 の始まりだったのかもしれない・・・・・・・ 
その男は大きなバイクに跨り、革のパンツと革のジャンパーで身を包み、何んともいえないオーラがあった。
そして、そのバイクは隅々まで綺麗に磨かれ、タンクには大きな文字で Harley-Davidson と書いてあった


俺は素直にカッコいいと思い、その人に言った

「カッコいいですね、自分もハーレーに乗りたいんですけど、仕事が忙しくて中々免許を取る暇がないんですよね」 

すると、その人は言った

「そう言って言い訳する人は一生ハーレーには乗れないよ」

と、あっさり言われ、俺は「そうですよね・・」と答えるしかなかった。
正直、俺はその言葉にカチン!ときた。

「お前には一生乗れないよ!」

と、俺の耳にはそう聞こえた気がした。
昔から単純な性格であると自分でもよく判ってる、ひとつの出来事ですぐ火が着いてしまう事を。


それからというもの免許を取る事だけに専念した、あの人を見返す為、他の事が何も見えなくなっている自分がそこにいた。
幾日か経って何とか免許を取ることが出来、それと同時に今のハーレーを即決で買った、ただ自分の意地を通すために。

そしてあの人に知らせた
「免許取りましたよ!ついでにハーレーも買いましたから!」と告げた、どうだと言わんばかりに。

あの人は俺に笑いながら言った

「そうか、よし!今度の休みの日に一緒に走るか?」

と、まるでこうなる事を知ってたかのように。

約束通り、お互い休みの日に一緒に走った
あの人の背中を見ながら、俺は懸命に走った
今でも覚えてる、あの時ハーレーの鼓動の音より俺の心臓の鼓動の音の方が上まるくらい興奮し、嬉しくて嬉しくて堪らなかったことを・・・・


しかし、その日があの人と最初で最後の走りになるとは夢にも思わなかった・・・・

数ヶ月後あの人は亡くなった・・・・・

俺はそれからというもの、何もかもが楽しく無くなった、走る気など沸いてこなくなり
一人でエンジンを駆けては眺める日が多くなり、そこにはただ鼓動の音だけが寂しく聞こえてきた。「もう、手放そう・・・・・・・」という思いがよぎり、「俺がしてきた事はなんだったんだろうか?」と、虚しさだけが残った。

そんな思いの中でも、今のD-RUSHのMCと知り合う事ができ、少しずつハーレーに乗る楽しさを戻してきた気がした。

月一回のD-ツーリング、とくにD-meetingは俺にとってかなり衝撃を与えてくれたイベントだった。
その時の俺は、まだメンバーに入る気は無く、D-meetingでスタッフをやらせてもらったり、メンバー達と一緒に走る事で十分満足していた。
月一回のDツーリングに行った際には時折あの人の写真を取り出しては周りの人に知られないよう語りかけ「今日は皆でここまで来たんだよ」と、周りの景色や風景を見せるようしていた。写真のあの人はいつも笑顔で喜んでいるようにも思えた。

そうする事が、あの人への恩返しだと思い幾度か繰り返してみた。
そうする事で、自分にも満足していたのかもしれない。

しかし、月日が過ぎるにつれてD-RUSHのメンバーとの交流も深くなり、リーダーの上関のMCに対するスピリットやこれからのD-RUSHが進むべき事にも深く共感して行く自分もいた。
その頃からか、俺の何かが少しずつ変わっていった・・・・。

もしかしたらあの人は、今まで俺がやってる事なんてこれぽっちも望んでいない、そんなちっぽけな事してたって少しも喜んじゃいない。あの人は俺に教えてくれたもっと大切な事、ハーレーに乗る楽しさや仲間の大切さをこのD-RUSHという仲間と共に、次へと繋げていく事を望んでいるんじゃないかと強く思えてきた。

「お前にはこんなにいい仲間がいるじゃないか」と言ってるような気がした。
そう気づいた瞬間から俺の歯車が大きく動きはじめた。
これから先の俺の人生はD-RUSHの奴らと共に生きて行こうと決心し、俺はこの仲間と生涯、何があっても生き抜いて行こうと心に誓い

「メンバーに入れさせて欲しい」と頼んだ

上関をはじめ、メンバー達には本当に感謝している、こんな俺でも温かく迎えてくれた事を。

「みんなありがとう!」

あの時、ハーレーを手放さなくて本当に良かったと、本気でそう思えた。

あと、何年かすれば確実に俺はこの世からいなくなるだろう。
いや、明日かもしれない。
死ぬなんて関係ないと思ってる奴でもいつかは確実にいなくなるだろう。
それが運命なのだから仕方ない。
そして、また新たな命が生まれてくる。
何万年かの中でも人の生と死は絶間なく繰り返されている。

俺達の肉体が滅びてもこの 鉄馬流転 は変化を繰り返しながら生き続けるだろう。

俺は信じる。

俺達がまた次にこの世の何処かで生まれた時、D-RUSHという名の看板に誇りをもち熱く走ってる奴らに出逢える事を。

これが俺達の 鉄馬流転 なのである


2006.3.9

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