VOICE

History of D-RUSH vol.3


98年初夏7月。
メンバー全員揃っての、初の公式ランは、関東のツーリング定番コースの軽井沢に決まった。
その日の東京はピーカンではないものの、ツーリングにはちょうど良い季候だった。
集合場所の、関越道高坂SAにメンバーが一人また一人と集まってくる。
みんなの背中には、出来上がったばかりの3ピースが照れくさそうに縫い付けられている。

今まで、それぞれソロツーリング、良くても2〜3人の少人数でしか走った事がないのだから、
12人もの仲間と待ち合わせをする初めての経験と、これから始まる自分達の走りへの期待にみんな興奮気味だ。
少しばかりの恥ずかしさと、雑誌の中で見る様な黒い軍団の中に自分がいる事が、まるで夢の様もに思えた。

タバコに火を付け、MCバイカーを気取ってみる。

『さあ、行こうか!』

誰かのかけ声で、一斉にヘルメットかぶり、エンジンに火を入れる。
12台のイグゾーストノートが周囲に響き渡る。

振り返る人、写真を撮る人、怪訝そうな顔をする人、回りの目が全て気持ち良かった。
まるでパレードの様に、SAの外周を回り、本線へなだれ込む。

走行車線に連なる自分達のカラーを見ながら、みんながほくそ笑んでいた。
バックミラーに写る仲間を見て新たな世界を感じた。
ロードキャプテンもツーリングリーダーもいない。
隊列を統制する必要もなく、かと言ってフリー走行でばらばらに走る事もせず、
暗黙のうちにそれぞれが、この台数で走る事を楽しむ為に整然と千鳥走行をしていた。

上信越道 碓井軽井沢ICで高速を降り、初夏の気持ち良い軽井沢の街並みを走る・・・予定だった。


雨だ。

初のクラブランからD-RUSHと雨とは縁がある。

けれど楽しさが雨さえ物ともせずみんな笑顔でずぶ濡れている。
『バイカーはやっぱ半帽でしょ!』
『バイカーはやっぱカッパ着ちゃダメでしょ!』
ほんの少しばかりハーレー歴の長い俺がみんなに言う。

決して強がりと言う訳ではなく、本気でそう思っていた。
それが、かっこいいバイカーと言う物だと、イメージ大先行だ。

雨の軽井沢は意外に寒い。
そんな中で上から下まですっかりびしょ濡れだから、なお寒さが増す。

『バイカーは寒いなんて言っちゃ駄目でしょ!』
決して『寒いぃ〜・・・』などと言いたくなかった俺は、
信号待ちでも毅然と前を向き、タバコに火を付けバイカーを気取る。
もちろん、吸えたもんではない。

隣りに並んだ、SHが俺に言う。

『KAMIさん・・・鳥肌立ってるよ。(笑)』

『バレた? だってメチャクチャ寒いし〜!(爆)』

雨の中でびしょ濡れになってバイクに乗りながら、
楽しそうに笑っている姿を見て、軽井沢の観光客はどう思っていただろう。


初の公式ランは、何から何まで楽しく愉快だった。


『バイカーってのは・・・。』

しばらくの間、それが俺の口癖となった。



/// PRESIDENT KAMI ///
2011年07月03日(日) No.16 (HISTORY)

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