VOICE

History of D-RUSH vol.12


「この間の中禅寺湖ツーは、今までに無く多くの人と走り、みんなお疲れさまでした」
5月に入った第一日曜、クラブ定例ミーティングでまずは、お疲れ乾杯。

「ひとつ気が付いた事をみんなに言う。」
俺の言葉にメンバー達はいったい何を言い出すのかと言うような神妙な顔つきになった。
「あのさ。この間の昼飯の時だけど、あれだけの人数だからテーブルがバラバラになったのは仕方ないけどさ、その時にうちのメンバーはみんな同じテーブルだったでしょ?」

そう言われればそうだったけど、何か?
そんな視線を感じながら俺は続けた。

「一般の参加者を募ってツーリングやって、話が出来る昼飯の時にメンバーだけでテーブルに座ってちゃ、他の人たちとの交流にならないだろうよ。せっかく俺たちと交流をしたくて参加してくれたんだから、そこはちゃんと気遣いしなくちゃダメなんじゃないの?」
さらに続ける。
「メンバー内の話なんか、こうやって定例ミーティングでも出来るんだし。」
「俺だけでしょ?参加者と同じテーブルに座って、合間に他の人たちと会話をする様に動いてたのは。みんなは終始テーブルから動く事も無かった。」

実際の所、俺は当日メンバーだけで固まっていた事にかなりイライラしていたのだ。
「一般参加者をツーリングに誘うなら、昼飯時もそうだけど、途中の休憩の時なんかももっとこっちから話しかけなきゃ、一般を受け入れる意味無いんじゃないのかな?」
「初めて一人で参加して来た人とか、向こうから話しかけて来るのって結構勇気いるんだよ。ドキドキしながら参加して来てるんだからさ、もっとこっちから受け入れる対応をみんながやらないと・・・。」

ようやっと当日そこにいたメンバーが俺の言いたい事に気が付き、言葉が返ってきた。
「良いんじゃないの?昼飯くらい誰と食おうが。そこまで気使わなくちゃいけないのかなぁ。」

カチンと来た。

「何言ってるん?あの時、いやあの日メンバー以外の参加は10人チョイいたけど、お前らその中の何人と話をした?俺が見る限りじゃメンバーは殆どメンバーとしか話ししてないだろ。D-meetingにしたって、こうやって参加者を募ってツーリングするんだって新たな友達を広げるためにやってんじゃないの?」
「今年もD-meetingやるんだろ?そんな気持ちじゃD-meetingやる意味も半減じゃねーの!」

Dに入るまでみんな一人二人で走っていて、こういう人数に対応した事も、された事もないのだから仕方が無い事とは言え、余りにも自分らだけの事しか考えていない事にがっくりした。

俺は少々熱くなりながらも、何とか分かって貰わない事には今月のツーリングもままならないと更に続けた。

「みんなさ、今まで経験がないからどうしたら良いのか分からないのかも知れないけど逆の立場で考えてみてよ。自分が一人で行ったツーリングで主催の誰からも話し掛けて貰えなかったら、なんで来ちゃったのかなって寂しくなるだろ?俺ら今までずっと一人で走って来たんだから、ああいう所で友達が増えるって事がどんだけ嬉しい事か分かるだろ?」「向こうから話し掛けて来なきゃ話しないなんて、俺らそんな偉くないだろうよ。せっかくやるんだったら、メンバー個々の繋がりを増やすためにもその辺もっと意識して欲しいんだよ。」

「うん。俺らが悪かった。これからはもっと気を付けるよ。」
納得出来ていなそうなSNを横目にSHが場を納めてくれた。

メンバーだけで走っていた時は何も無かったものが、一般参加を受け入れる活動スタイルになってから、大小色んな問題や課題が出てくる。何かひとつ事が終わる度に、メンバーに対して細かな指摘をする事が多くなっていった。

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その晩、俺の携帯が鳴った。
「もしもし・・・。」

「あっ、上関さん?」

聞いた事のない男の声だ。
「はい。上関です」
「あのさ〜、今度のツーリング行きたいんだけど。俺ともう一人。」

初対面(会ってはいないが)なのに、いきなり随分偉そうな口調だなと少しカチンと来ながら俺は丁寧に応えた。

「あの〜名前はなんて言うんですか?」
「俺、小島ってんだ小島。もう一人はもう少しオッサンなんだけどね。」

―もう少しオッサンって、あんたが幾つか俺は知らないし・・・。―

「え〜っと、今度のツーリングは千葉の犬吠埼に行くんだけど、どこから参加します?」
「俺、横浜だからさ。もう一人も都内だからちょっと確認してしみるよ。それでいい?」
「そうですか。じゃ集合場所に来られるのかどうかまた電話下さい。」
「ああ。じゃまた電話しますよ。」

電話を切ったあと、この小島ってのは何歳なのか分からないが、何で俺がこんな低姿勢にならなきゃならないんだ?と少しばかり気分が悪かった。

その数日後、再び携帯が鳴った。

「もしもし、小島ですけど。この間の件、連れと集合場所に行く事になったから。」
「そ、そうですか。連れの人の名前は?」
「川井っていう人」
「小島さんと川井さんですね?今回僕は仕事休めなくてツーリングには行けないんで、当日の幹事に伝えておきますね。当日は宜しくお願いします。」

その月は珍しく俺が休みが取れず、代理でSHに行き先と当日の取り纏めを頼んだツーリングだった。

なんだコイツ。
俺の苦手なタイプ・・・。
今回欠席で良かったかも・・・。


D-RUSH始まって以来、初の俺欠席ツーリング。
その日は、職場にいても落ち着かない。
みんな集合場所に集まったか。
首都高は事故なく抜けたか。
SHと時々携帯で連絡を取りながら状況を確認する。
あの小島の対応はちゃんと上手くやってくれているか。

「小島さんと川井さんはどう?」
「うん、大丈夫。二人とも気さくないい人だよ。問題ないよ。」

ひとまずは安心と言うところで一日の仕事を終え退社し間もなく、携帯が鳴った。




/// PRESIDENT KAMI ///
2014年08月01日(金) No.32 (D-RUSH)

History of D-RUSH vol.11


念願の平日ミーティングを無事に終え、
俺たちはそこで沢山の新たな出会いを得た。
『今度、うちのツーリングにもおいでよ!』
そんな言葉に、翌月からのクラブランに、メンバー以外のバイカーが参加してくる様になった。

毎月の定例ツーリングは、相変わらず全て俺が企画していたが、
それをネットの掲示板に告知し、連絡先交換をした新たな仲間にお誘いのメールをする。
D-meetingがきっかけで知り合ったGAKUはそれからは毎回参加する様になり、
やはりD-meetingで知り合ったRMも毎回顔を出す様になった。

そんなある日、D-RUSHのWEBサイト経由で俺の所に一通のメールが届いた。
『今度のツーリングに参加したいんですけど・・・』
破壊王と名乗るその男からの文面は、その名前とは裏腹に優しく丁寧な言葉が並んでいる。
俺は『もちろん!一緒に走りましょう。集合場所は・・・』と返事を返し当日会えるのを楽しみにしていた。

ツーリング当日、集合場所にはDメンバーやGAKUなど一般参加の面々がポツリポツリと集まって来た。
そこに黄色いファットボーイに乗った男が現れ、メットを脱ぎ声を掛けてきた。

『おはようございますッ!メールした破壊王です!』
『おはようございます。破壊王さん・・・?』

その男はどう見ても何かを破壊する様な風体ではなく、物腰柔らかくニコニコした男だった。

『破壊王さん、仕事は何してるの?』
『立川で美容師やってます!』
『やっぱ、火曜休みなんだ?破壊王ってなんか呼びづらいんだけど名前は?』
『サカモトアツシです。』

全然フツーの名前で、全然破壊王な感じではなかった。

Dメンバー自体も仕事の関係で、なかなか定例ツーにメンバー全員が集まる事も難しい中、
一般参加の仲間達が賑わいを加えてくれ、少人数とは言え新たなスタイルでのツーリングが毎月の一番の楽しい出来事であった。

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年も変わり2001年。
1月のツーリングを経てGAKUが正式にメンバーになった。

2月も相変わらず6人程度の少人数ツーリング。
『せっかく、知り合った仲間も来てくれているんだから、もう少しメンバーの参加があっても良いのに。』
メンバーの参加率の悪さに少し苛立ちを覚えつつ、それでも自分たちのカラーが一般参加の仲間を先導し走る姿が嬉しくもあった。


3月、まだ寒さが残る季節のツーリングは行き先に悩む。
山方面は寒さも増すし、雨間の日陰道はスリップの危険もある。
4月まではどうしても神奈川や千葉方面になってしまうが、その方面での俺の持ちネタコースは少ない。
苦肉の策で今回は、今までとは趣を変え街中に向かう事にし横浜カレーミュージアムを目的地とした。

その日、地元の路肩で新たな参加者と待ち合わせだ。
予定の時間を過ぎても、なかなか現れない。
携帯に電話をすると、彼は場所を間違えていて少し離れた場所でずっと待っていた。
こちらの場所を伝え間もなくして登場した彼は緊張気味に『待たせてしまってすいません!』とグリップに長いフリンジを付けたバイクから降りた。
まずは、握手を交わし初対面の彼を見ると少し長めの真ん中分けが、スケベっぽく、バイクの長いフリンジといい、リベットが沢山打ち込まれたその革ジャンがさらに個性を際立たせていた。

目的地のカレーミュージアムに着く頃には、俺はリベットが目立って彼を『鋲君!』と呼んでいた。
カレーミュージアムは幾つかのカレー店が軒を並べている。参加者はそれぞれ好みのカレー屋に別れて昼飯を食す。俺は初参加で緊張気味の鋲君を知ろうと同じ店を選び横須賀軍艦カレーなる物を食べながら色々と話をした。

『仕事何やってるの?』
社会人同士の会話はまずはここからが無難な切り口だ。

『不動産なんですよ』
『へえ〜。じゃ儲かってんじゃないの〜?w』
『いや、営業だからそんなでもないですよ・・・』
『ところで鋲君、名前なんだっけ?』
『小笠原です。』
『下は?』
『ノブヒロ』
『そっか〜、じゃ鋲君じゃ悪いからNOBUだね』
NOBUは何なんだ?という顔で苦笑いをしていた。

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Dメンバーは誰も来ない・・・4月のDRAGON WAVE 2ndを終え季節はツーリングシーズン到来。5月は中禅寺湖で観光客やお店の物を持って行くと話題になっている"いたずら猿"を懲らしめようツーリング。
今回は一般参加を募る様になってから総勢25人と一番多い参加人数だ。
D-meetingで問い合わせ第一号だった千葉の床屋、矢萩君率いるTRIBESMENのメンバー、DRAGON WAVEスタッフのツーちゃんや火曜会のツヨシ、Dメンバーも今回はいつもより多い。車種もEVO、SHOVEL、PANと様々。

人数が多くなると、休憩時間も長くなりがちで全体の動きも遅くなるし、トラブルのリスクも多くなる。

東北道から日光宇都宮道路に入ったところで、案の定ショベルがトラブル発生。
全員が路肩にバイクを駐め、故障車を覗き込む。
Dメンバーは全員EVOだし、今までの参加者でいわゆる旧車乗りという人も決して多くなかったので、こういうシチュエーションは初めてだ。
幸い平日だから、交通量は殆ど無く危険という感じはしないが、焦るショベル君をよそに世間話に花を咲かせるヤツ、どれ、俺に見せてみろと横から割り込んで来るヤツ、一体いつまでここに駐まっているんだと少し怪訝そうな顔をするヤツ。

俺はと言えば、以前に自分がトラブった時に何も言わず笑ってずっと付き合ってくれた仲間がいた事もあり、『明日は我が身、お互い様なんだからさ、やっぱバイカーってのはこんな事でも笑って付き合ってやるもんだよ。』と皆を諭しつつ、目的地を楽しみに参加している人も少なからずいるのだから、そう言う人もの事も考えると、一様に全員をここに足止めさせておくのは申し訳ない。
とは言え、『先に行って良いですよ。ここで離脱します。』と言っているショベル君一人ここに置いていく事も出来ない。
果たしてこのまま待っていて動くという保障もなく、時間ばかりが過ぎてしまったら昼食も含め予定を大きく変更しなくてはならない・・・。

さて、どうするか・・・。
Dメンバー数人を残して、他の参加者を先に誘導するか。
それで良いのか・・・。

俺の頭の中はそんな事で一杯になっていた。


―ブォ〜〜ン!―

『直った〜!』
みんながどよめいた。

『ショベル君大丈夫?』
『すいません。大丈夫です。』

良かった・・・。
判断を下す前に動いてホント良かったとそっと胸をなで下ろす俺がいた。

無事に中禅寺湖に到着したが観光客もいなければ、いたずら猿も見当たらない。
閑散とした観光地で食事処の店の前で、手招きをするおばあちゃんに誘われるままにその店に入り昼食だ。

みんなそれぞれに近くのテーブルに付き初対面の挨拶を交わしながら食事を進めている。そんな中、既に正規メンバーになっていた、D-meetingで出会ったRMが今回初めて参加してきた連れを紹介して来た。

『こいつね、俺の店の向かいの店によくハーレーで来てるんで今回誘ったんだよ』
『何?RMとはよく遊んでるの?』と俺。
『いえ、RMさんがハーレー乗っているのは知ってたけど今回いきなり声掛けられて休みがあったので来てみました。』
『平日休みなんだ?何してるの仕事』
お決まりの初対面トークだ。

『こいつね。』とRMが口を挟む。
『アルプスってスーパーに勤めてるんだってさ。』
『あっ知ってる。見た事あるよALPSってスーパー、変な名前って思ってた。w』


その日ちゃんと本名を聞いて別れたが、人の名前をなかなか覚えられない俺は、その後も彼の事を話す時に『あのALPSに勤めてるヤツ』と言う様になっていた。






/// PRESIDENT KAMI ///
2014年07月26日(土) No.31 (D-RUSH)