VOICE

History of D-RUSH vol.4


殆どが多摩地区在住のメンバーの中で、一番遠い俺は自宅のある埼玉の飯能から足繁く、
NABEのイタ飯屋はもちろん、隣のモークスカフェの方にも頻繁に顔を出していた。

そんなある日の事だ。

『KAMIちゃん、NABEさんとこのクラブに入ったんだって?』と
モークスの常連ハーレー乗りが俺に言う。
そいつはこう続けた。

『KAMIちゃん、何でD-RUSHなの?あんなハーレー乗りたての寄せ集めみたいなクラブに入っちゃって、
KAMIちゃん、株を落としたなって噂になってるよ。』

そいつは、既に同じ多摩地区で長く活動を続けているMCのメンバーだった。

『D-RUSHなんか入るならうち入ればいいのに』と更に続けた。

俺は、返す言葉を躊躇ったが、
『いや、いいんだよ。俺が入るって決めたんだからさ。
確かにみんな、知り合ったばかりで作ったし、お前のとこに比べたらヒヨッコの真似事クラブかも知れないが、
結構楽しくやってるんだぜ。』と、その場の空気を壊さない様、軽く言葉を返した。

『ま、いつでもこっち来たくなったら言ってよ。KAMIちゃんなら全然OKだから』
そう言うとヤツは、他の席にいる常連客の所へ戻って行った。


悔しかった。
俺個人を認めてくれての言葉だと解釈はしたが、心を決め結成した我がクラブを見下されたのだ。
『なぜ、そんな事言われなきゃなんないんだ?まぁ確かにそう見られても仕方無いかも知れないが、
いずれ必ず見返してやる。
ヤツらのクラブなんかに負けない位の活動をして、この地区では一番の、いや関東で一番のMCにしてやる!』
俺はそう、強く心に誓った。


それから、数日後。
再びそいつとモークスで会った。

特に嫌っている訳ではないので、普通に会話を交わす。

『D-RUSHってさ、リーダーいないんだって?』

『ああ、今はまだ立ち上げて間もない事もあるけど、みんな平等って事でね。』

『やっぱりさ、クラブにはリーダーいないと駄目なんじゃん?リーダーも立ててない様じゃ、
やっぱ駄目だよD-RUSHは。だから早く辞めちゃいな〜。』


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その次のD-RUSH定例ミーティングの集まりの際に、俺はこう切り出した。
『今まで発足して数ヶ月、うちはリーダーなしでやってきたけど、現状を考えるとやっぱりリーダーを
一人立てた方が、いいんじゃないかと思うんだが・・・。』

それまで、数回のツーリングの企画、各メンバーへの連絡確認、緊急連絡網の策定など、細かい事が嫌いではない俺は、自ら進んでこれらの事をやってきた。
それは、みんな仕事を持ちながらの活動というのは当たり前だが、ツーリングを初めとする普段の活動企画などは、誰かが率先して事を進め、スムーズな伝達が必要であり、連絡網ですら、途中で止まってしまう様なみんなが相手任せの意識では、とても充実した活動は難しいと、すでに感じていた上に、モークスで言われた事が俺の頭に引っかかっていたからだ。

みんなの反応は、否定的だった。

『上下関係がないフラットな付き合いが出来るからと言う事で、入ったんだからリーダーなんてない方が良い。』という意見が大方だ。

『確かにそうは言えるが、この数ヶ月でさえ実際、俺なりNABEさんなり、
誰かが中心になってここまでやって来ているんだから、そう言う意味で、決してみんなの上に立つという意味ではなく、車輪の軸の様にみんなの中心に位置してクラブの活動を潤滑に回す役割として、どうしてもリーダーを立てる必要があると思う。』そう俺は、食い下がった。

この提案は、その回の定例では結論が出ず、次回に持ち越される事になった。



そして、翌月の定例ミーティング。

まずは、持ち越しの議題を決着させる。
D-RUSH創設の一人であるKTが口火を切った。

『リーダーを立てる件だが、どうだいみんな、KAMIさんがそこまで言うなら、一度やって見たら良いんじゃないか?駄目なら止めればいい。』

みんなも、この1ヶ月の間にある程度覚悟は決めていた様だ。
『KTさんの意見に賛成』
『とりあえず、やってみようか』という流れで、リーダーを立てる事自体は決定。

『じゃ、誰がリーダーになる?』

『・・・・』

誰も自ら手を挙げるものはいない。

『やっぱり、今までの動きを見ると、NABEさんかKAMIさんが妥当だと思う。』
そういう意見が上がり、KTがNABEに聞いた。
『NABEさん、どう?』

NABEが答える。
『俺は、リーダーはしないよ。どちらかと言えばご意見番的な感じが良いからさ。』
そこで俺は、すぐに口を挟んだ。
『じゃ、俺がやる。』

KTが場を取りまとめる。

『どう、KAMIさんにやって貰うって事でみんないいかな?』
反対は無かった。

KTが続けた。
『じゃ、今月からKAMIさんをリーダーって事でやって貰いましょう。
ただし、取り敢えずリーダ−制をやってみるという事だから、お試し期間と言う事で半年間、様子を見よう。KAMIさんの動きとクラブの状況を見て、半年後にもう一度どうするかを決定しよう。』


みんながそれに賛成し、俺は取り敢えずの、
”半年間のお試しリーダー”に就任した。



/// PRESIDENT KAMI ///
2011年08月09日(火) No.19 (HISTORY)